健康で長生きするために、まず大切にしなければならないのが食生活。、栄養状態を見るのに最適な指標は何なのか、そして食事をどう変えていけばいいのだろうか。老化を遅らせる食生活指導の第一人者である熊谷修さんは、「シニアの5~6人に1人が低栄養状態にある」と警鐘を鳴らす。
老化に伴い、骨からたんぱく質が抜けていく
前回「粗食の誤解! 『歳をとったら、肉や脂っこいものは避ける』なんてとんでもない」では、シニア世代にとって要介護のリスクを高める原因となるのが、病気そのものよりも老化であることを述べた。そして、老化はたんぱく質の減少と密接に関係しており、老化を進めるのも遅らせるのも、たんぱく質がカギを握っていることを紹介した。
実は、高齢者に多いとされる病気の数々も、たんぱく質の減少が原因になっていることが多い言う。
「例えば、背骨を構成する椎骨を見ると、その間にサンドイッチ状にはさまっている軟骨(椎間板)に、多くのたんぱく質が含まれていることが分かります。平均すると、骨という組織の約52%がたんぱく質でできているのです。この軟骨組織からたんぱく質が抜けていくことにより、脊椎の圧迫骨折が起きやすくなります。背骨には神経の束が入っていますから、そうした神経が刺激されて痛みも発生します」
「その状態からさらにたんぱく質が抜けると、軟骨だけでなく骨の部分からもたんぱく質が抜けて、骨が固くデコボコ・ゴツゴツしてくる状態になります。骨の弾力性がなくなって変形してくるために、これが強い痛みの原因となります。骨が変形することで、神経の通り道である『脊柱管』が狭くなると、いわゆる『脊柱管狭窄症』になるわけです」
圧迫骨折も脊柱管狭窄症も、たんぱく質の減少と深く関わっていたのである